寒い日が続いていますが、次回は3月30日の満月ですから、今回が、寒さの中の護摩の最後ですね。
今日は3人の方を、通算60回の月護摩参拝で表彰いたしました。
継続すること、繰り返し良い事を願うことの大切さをお話ししました。
2月護摩のお話。
青蓮院の書院(華頂殿)に、森本白汀さんが奉納された、伝教大師最澄のお言葉を記した屏風があります。
「国宝とは何物ぞ、宝とは道心なり。道心あるの人を名づけて国宝となす。故に古人の言く、径寸十枚、是れ国宝に非ず。一隅を照らす、此れ則ち国宝なり」
最澄の請願書である『山家学生式』の冒頭の文章です。
国の宝とは何か。宝とは道心、すなわち仏道を求める心である。仏を目指す良い行いをする心を持っている人を国宝というのだ。金貨や玉といった財宝は、国の宝ではない。
人は様々な関わりを周囲の人々の中にもっている。自分をとりまく周囲を明るく照らしていこう。
自分の最善を尽くして、人のためになるような人こそ、国の宝である。
最澄は、全ての人が持分を尽くしていけば、国は仏国土となって栄えると説いています。
また指導的な立場の人は、道心をもって、出来るだけ広く、遠くまで照らして欲しい。
そしてそのような人が国の宝物であり、そのような人になることを目指そう。と説きました。
自民党の総理大臣が、次々と変わり、人々は民主党に期待を寄せましたが、今多くの人々が失望しています。
今こそ、最澄が言う道心ある指導者、国の宝とも言うべき指導者が渇望されていると思います。
青蓮院の門前にクスノキの大木が5本あります。
京都市の登録天然記念物に指定されていますが、その石垣の上に、寺の中に電気を引き込むための木製の電柱があります。
去年のある日、関西電力の担当の方が来られて、この木製の電柱が大分傷んできたので、コンクリート製のものに換えたい。との申し出でした。
私は景観を損なうので、前々からお願いしていた、門前道路の電線地中化を是非検討して欲しい。と提案しました。
私は何度か、ヨーロッパへ旅行しましたが、ウイーンや、プラハ、等の旧市街には一本の電柱もありません。
細い路地裏まで徹底しています。
また、日本では電線地中化した道路では、かなり大きな鉄製の箱が、一定間隔で置かれます。
そして驚くことには、ヨーロッパの旧市街には、この鉄製の箱が無いのです。
日本では電線地中化に莫大な費用がかかります。
私は日本のやり方が何か、根本的におかしいのではないかと思っていました。
その関電の担当者は私に会う前に、上に述べた書院の最澄の屏風を見て、息子さんが比叡山中学に入学して、学校に行ったとき、この同じ言葉が掲げられていたので、関心があった。
この言葉の意味はどういうことか教えて下さいとのことでした。
私はこの時とばかり、この意味は、貴方がご自分の仕事に最善を尽くすことです。
そしてその最善を尽くす行いによって世の中のためになることです。
クスノキの石垣の上の電柱は、コンクリートの電柱に換えるのでなく、ヨーロッパと同じ様な電線の地中化を実現することです。とお話ししました。
その後紆余曲折はあったのですが、京都市さんを交えて、このことで会合をもつことになっています。
カテゴリ: 門主のお話 | 2010年02月14日 | コメント(2) | No Trackbacks
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