11月護摩のお話
11月10日青蓮院でフジコ・ヘミングさんのピアノリサイタルが実現しました。
色々なご縁が重なり、奉納演奏をしていただけました。本当にすばらしい演奏で夢がかないました。
11月25日の日経新聞文化面に詳しい記事が掲載予定ですので、ご覧いただければ幸いです。
11月の満月護摩。雨の中にもかかわらず、遠近を問わず大勢のかたにお参りいただき有難うございました。
尖閣諸島ビデオ流出の海上保安庁保安官のことについて、仏教ではどのように考えるのかをお話ししました。
彼は国家公務員としての守秘義務を破ったことの罪をしっかり自覚された上で、それでも国民に実際の映像を見てもらい、それぞれが判断してもらいたいとの強い思いがあったと、今回のビデオ流出に至った気持ちを述べられています。
ビデオ流出は、公務員としてはやってはいけないことでした。
やってはいけないこと。
仏教ではやってはいけないことを戒律といっています。これは僧侶が守るべき根本の戒めでありますが、在家の人々にも通じるものとして、その一部として一般にも「五戒」は良く知られています。
実はこの戒律は戒と律に分かれています。戒は人間として守るべき人としての道であり、自らに科す掟です。一方、律は僧侶の世界、或いはその人の属するそれぞれの社会が秩序をもって成り立つための規則であります。そして規則を破ったものには、相応の罰則が伴います。
海上保安官の公務員の守秘義務を破った行為は、仏教ではこの「律」に反することでした。
つまり「戒」、人間として犯してはいけないことを犯したのではなく、公務員としてのルール、社会としてのルールに反したのです。
しかし表面上はルールに反していますが、はたしてビデオは守秘されるべき厳密な秘密として扱われていたか、そもそも事実を隠してまで、中国に過度に遠慮することを決定した政府のありようが問題である。等の意見が云われています。
船長は無罪放免となり、表面的な罪とは云え、彼を罰することは国民の多くが認めないのではないかと思われます。
菅さんの人気が急落しているのも頷けます。
天台宗では伝教大師が、当時の奈良仏教の250戒を改めることが生涯の念願で、亡くなって一週間後に新しい戒が、円頓戒として公認されました。
これは梵網経にある、十重四十八軽戒ですが、一般の我々には特に十重禁戒が根本の戒です。
十重禁戒は表裏になる十重善戒でもあります。以下が十重善戒ですが、十重禁戒の中のお酒を飲んではいけない。がありません。これは?のむさぼってはいけないに含まれると思います。お酒も過度に飲むなということだと思います。
十重善戒は。
?人を殺してはいけない。
?人のものを盗んではいけない。
?不倫をしてはいけない。
?嘘をついてはいけない。
?綺麗ごとを云ってはいけない。
?悪口を云ってはいけない。
?人を誹謗、中傷、あげつらってはいけない。
?むさぼってはいけない。
?怒ってはいけない。
?人のために尽くさなければいけない。
私はこの中でも特に大切なものは、
?嘘をついてはいけない。
?むさぼってはいけない。
?人にために尽くさなければいけない。
の三つだと思います。
海上保安官は自分の職を失うことも有りうる覚悟で、日本中の人に解ってほしいとの思いだったと思います。
戒で云えばこの?人にために尽くすこと、であったと思います。
十善戒を日常の規範として守っていきましょう。
カテゴリ: 門主のお話 | 2010年11月22日 | コメント(0) | No Trackbacks
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