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9月護摩のお話

9月護摩のお話

大阪は竜巻、京都も明けがたは雨と雷。悪天候の中でも大勢の方にお参りいただきありがとうございました。護摩の頃から雨も上がり、夜は満月が雲間を泳いでいます。

先月に続き、正見(しょうけん)正しく見る。ことについてお話しします。

9月初旬に上海万博に行ってまいりました。

中国共産党の若手の力のある方のご縁で特別待遇で会場にも入れていただき、上海の三大仏教寺院を正式に訪問する機会も得て、日中親善に少しばかりご縁をいただきました。
上海の発展は目を見張るものでした。人口も19百万。経済発展からも、既に東京を凌駕しているなと思いました。
中国の国力がここまで上がっているのかと実感しました。
ただ中国の抱える大きな問題もその若手の共産党幹部の方から汲み取ることができました。

貧富の差の拡大。
貧困で底辺にいる巨大な人口。独裁的な政治を強行する中でその人々の不満をいかに鎮めていくか。
日本たたきはこの問題を解決するための政治主導で行われていることが窺われます。

帰国後、程なくして尖閣諸島の問題発生です。

尖閣諸島での、中国漁船衝突事件をめぐる中国の対応は温家宝首相が国連総会出席の中で、船長の即時無条件釈放を極めて強硬に求めました。温家宝首相が公然と衆目の中で表明したことで、後に引けない中国の強烈な主張です。船長の日本の裁判を認めれば、尖閣諸島は日本の領土であることを間接的に認めることになるからでしょう。日本が要求を拒否すれば「日本に強烈な対抗措置」をさらにとるとして脅しをかけています。

私は日本の戦後の歴史教育のありかたに常々問題ありと思っています。
それは、現、近代の歴史を深く教えていないことです。

歴史教育は石器時代、縄文、弥生からじっくりと始まり、最後の現、近代は殆ど省略です。
又現、近代については思想的なこだわりから、日本の国としての独立と自尊の意識に自虐的な歴史認識もあり、深い洞察を回避したり、タブー視してきたことにもよると思います。

私は歴史教育は、今を出発点にして、何故今があるのか?を、キイーワードに次第に過去へ遡って行く仕組みに全面的に改めるべきと思っています。

尖閣諸島の領有権について、多くの国民は日本の主張の根拠を知らないか、知らされていないと思います。

この問題を中国が公然と自国の領土だと主張している時に、国民に対しても、世界に対しても、とりあえず、責任ある立場の、外務大臣や総理大臣は日本としての根拠をしっかりと表明すべきと思います。

中国はこれだけの強硬姿勢をとるには、それなりの根拠をもった主張があります。そして日本の主張をもちろん当然知った上での今回の対応です。従って日本は、まずは日本人に、そして國際社会全体に日本の根拠を
自然な形で主張するのが極く普通のことでしょう。違いますか?

にも拘わらず何故明確に主張しないのか。
主張したら喧嘩は益々エスカレートするとでも?

中国は日本の主張を熟知した上で、さらに云えばその主張を排除できると考えているのでしょう。
日本が反論すれば、中国は恐らく真っ向から否定するでしょう。でも日本は、主張しなければ、知らない人には大国中国の主張が最もだととられてもいたしかたないでしょう。

中国は東シナ海の油田の権益の確保という国益のため、日本叩きの世論の恣意的な煽動と、親善のための全てのルートを遮断してきました。まさに國際信義に反することだと思います。ひょっとしたら中国は既にアメリカとグリップしているのかも知れませんよね。
また来年に迫る主席の交代への思惑であるとも云われています。

今一番悲しいことは、日中の政治の指導者の中に、お互いに個人的に親しく、心から信頼しあえる親密な関係にある人がほとんど誰もいないようなのです。

表面上対立する両国の難問でも、そのような人がいれば、歩み寄り、接点を見い出し、両国の共通の利害のため解決の糸口を作ることが可能なのですが。長い地道な活動が無かった証拠をまざまざと見せられている気がします。

正見。相手を正しく見る。相手の真意は何か。相手を知らないで交渉も戦いも出来ないと思います。

外務省がどの位、主要国と緊密な人的パイプと諜報活動を真剣にしているのか。国益を考えた活動をどれだけ
しているのでしょうか。今の事態はまさに何もしていなかったとしか云いようがありません。

前原外務大臣は私の選挙区です。できれば機会をいただいて、このことについてお話ししたいと思っています。

ご参拝の皆さんも、国のことにも少しは関心を持ちましょう。

そしてご自分の関わる諸問題も、正見。つまり深く実地に見て、常に相手を知り尽くす努力をしたいと思います。
相手を知れば知るほど、理解すればするほど、ものごとは真に求められ得る最善の道に導かれるのだと信じます。

仏教が説いていることです。

カテゴリ: 門主のお話 | 2010年09月23日 | コメント(2) | No Trackbacks

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