青蓮院ブログ

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7月護摩のお話し

今日は暑い中をお参りいただきありがとうございました。

先月下旬に中国の西安と敦煌に行ってきました。
西安には、大興善寺というお寺があります。
この寺は、天台宗にとって、また青蓮院にとっても極めて関係の深いお寺です。
天台宗第3代の座主の慈覚大師円仁さんが、遣唐使として仏教の教えを究めるため修行をしたお寺であり、青蓮院のご本尊の熾盛光如来や、密教関連の多くの修法の伝授を受けて帰国し、日本の仏教の礎を築く基になったお寺です。

来年1月14日は慈覚大師1150年のご遠忌にあたり、その後も伝教大師はじめ緒大徳の遠忌が続くため、天台宗では今年から10年間を大法会の期間として大法要を勤めてまいります。

そこで大興善寺にお参りし、円仁さんへの報恩のお勤めをしてまいりました。
ご縁があって滋賀教区の有志のご住職達と、書道の会の方々の一行となりました。

西安は歴史上は長安として、世界的に繁栄した都でした。
現在は人口840万人。巨大なビルが林立し、さらに建設途上の大建造物が随所に見られ、広い道路に車があふれ、町中は人でごったがえし、夜中に至るも喧騒が静まらない、異常な光景を目のあたりにしました。

しかし、円仁さんの在唐時に会昌の廃仏があり、近年では文化大革命の廃仏を経ていますが、大興善寺は厳然として存在し、境内は多くのお参りの人々で賑わいを見せていました。

ご住職とも親しく交流することができましたが、円仁さんが修行されたご縁を極めて大切にされていることを、短い時間でしたが、強く感じる事ができ嬉しく思いました。

敦煌はまさにシルクロードの出発地として、中国悠久の歴史の中に連綿として栄えたオアシスです。
西安から飛行機で2時間。まさに沙漠の中に忽然と存在しています。
殆んど雨がふらなくても標高6千メートル級の山から流れる雪解け水で、広大な畑が潤い、穀物や果物が豊富で、豊かな暮らしぶりとのことでした。

敦煌で一番有名な莫高窟に行ってきました。
巨大な砂丘の西の外れに大岩盤があり、その岩壁をほこら状に掘って仏像や、仏画が描かれています。
窟は何百もあり、まだ調査中です。巨大な大仏や大涅槃像もあります。

この圧倒的な遺産が語りかけてくるもの。

死を覚悟してシルクロードを旅し、無事帰国できたことに対して仏様への感謝の気持ちを
顕して制作されたとのことを聞いて、当時の人々の仏教への無垢なまでの篤い信仰、
そのひたむきさをひしひしと感じました。

玄奘三蔵が、敦煌を出発して命がけの旅によって、莫大な経典をもたらしたことも、
郊外の猛暑の沙漠にたつと、まさに信じ難いものして実感できました。

三蔵法師は唐の皇帝からも篤く敬われ、全ての漢訳経典が円仁始め遣唐僧によって、再び命がけで日本にもたらされています。

そして1千年を越える年月を経て、今があるわけです。

今、仏教を信仰してお参りをいただける、皆さんに、
そのように命をかけて伝えられた仏教であることを、お伝えしたかった。

また、それほどまでにして伝えられたことの重みを実感すると、
僧侶として日々の精進が究めて足りないことを猛省する次第です。

慈晃拝。

カテゴリ: 門主のお話 | 2012年07月05日 | コメント(1) | No Trackbacks

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