青蓮院ブログ

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5月護摩のお話

5月護摩のお話

朝方快晴で気持ちの良い皐月晴れだったのが、今は雷とともに、ひょうが降ってきましたね。
自然の予測出来ない動きを改めて知らされました。

先日、5月11日に天台宗では、半田天台座主が気仙沼市に出向き、追悼慰霊法要の導師を勤めました。

東日本大震災で、亡くなられ、また行方の知れない方、3万人近くにのぼる方々の菩提を弔い、復興への祈りを奉げられました。

青蓮院のご本尊は熾盛光如来といって、天変地異の鎮静、国家の安泰をはかるお力があると伝えられています。
日々のお勤めの中で、私達も一生懸命祈り続けております。

震災以来、被災者の方々の想像を絶する、お悲しみ、ご苦労、原発事故への怒りが、様々な報道によって、ひしひしと伝わって来て心の中に重くのしかかってくるのですが、皆さんもきっと同じ気持ちをお持ちではないかと思います。

幸い関西、京都はいつも通りに活動していますが、折にふれ東北は大変だなーと、思わずにおれません。

そのような心に重く伸しかかってくる問題は、震災のことだけでなく、我々それぞれ生きていく上で誰でも多かれ少なかれ、人それぞれ悩まされることがあると思います。

思っていることが、うまく進まない。相手への思いが伝わらない。あるいは相手が云う事を聞いてくれない。
事業の思惑がはずれ失敗する。悩みは色々あると思いますが。

それらのことが、心の中で重圧となっていき、折にふれて頭をもたげて意識の中に現れます。
忘れようとしても、逃れられないのですね。

原因が思い通りになれば、すっきり解決するのですが、直ぐ解決できない問題もあります。どうしようもない。

このことでどうしたら良いか。1つの方法として、
そもそも自分の思いにこだわるから、うまく進まないのであって、うまく行かないのは人のせいではなく、自分が思うことを、考えなおしてみる。

人のことや状況を良く考えもせずに、自分本位に勝手にうまく行くと思ったことから始まっているのではないかと。
反省することで気持ちが楽になる場合もあると思います。

お不動さまへの信仰。それは大きな力に自らをゆだねて、その中で最善を尽くしていくことだと改めて思います。

丁度
東山に満月がのぼりました。22時45分です。 慈晃 拝。

カテゴリ: 門主のお話 | 2011年05月17日 | コメント(1) | No Trackbacks

4月護摩のお話


桜が例年になくまだ境内で名残の花を咲かせています。
何か、おかしいですね。

4月4日から11日まで、比叡山の恒例の御修法に参勤してまいりました。天台宗の座主を筆頭に、探題職にある高僧、そして門跡寺院の門主他、計17名による、不眠不休ではありませんが、1日3座、根本中堂に篭り、密教の修法と声明(お経に節を付けて唱えるもの)による大法要です。
3×7日で21ヶ座を勤めます。
常は国の安泰、皇室の安寧を祈っていますが、今年は回り合わせで、青蓮院のご本尊の熾盛光如来を祀る法要でしたが、この青蓮院のご本尊はまさに今の大地震のような、天変地異を鎮静する力を持った仏様として祀られてきました。そこで今回は、今回の大災害で亡くなられた方のご冥福を祈り、災害からのいち早い復興を一心に祈る法要となりました。

青蓮院のお不動様は、大日如来の仏頂尊である、このご本尊の化身ですので、今日はこの大災害の鎮静化、特に電発事故の早期収束を祈ってまいります。

まだまだ強い余震も続き不安な状況です。また東京に同じ様な大津波が襲来したら大変です。
東京には万全の守りを確保するための強力な対策が急務だと思います。
その実現のためにも祈ってまいりたいと思います。
多分石原都知事は最後の任期でこの実現に邁進されるのではと思います。

今回の大地震の報道によって、皆様はそれぞれ色々な感想をお持ちだと思います。
政府の対応が遅い。東電は何をやっているのだ。亡くなられた方への哀悼。被災者、避難を強いられる人々の苦しみ。
それを思うと、何かして上げなければと思う。しかしなかなか思うように具体的に動けずにいる後ろめたさもあります。
それは世の中の自粛ムードとなって現れているようにも思います。

今回の大災害を通じて、私が思っていることがあります。
今回の電発事故は 「想定外」 の津波による事故だという認識が、とんでもないことだと思うのです。
私はこの「想定外」という言葉を一切使って欲しくないと思っています。
 
何故か。

それは想定外という言葉の奥には、想定外だったので責任を負わなくて良い。と云う思いが裏に隠されていると思います。
今回の災害は1000年に一度の大災害で、人智の想像を絶していたことは明らかです。

しかし自然の猛威の前に人智の力が如何に小さく弱いかを今回ほど思い知らされたことはないのです。

考えられる全ての予測をして努力をしてきた。だから自分は間違っていない。という発想がこの「想定外」の発言の裏にあります。

自分が自分がと考えるのではなく、人智を越えた自然の力、つまり自分の力ではどうしようもない力の中に自分がある。
その自然の力、大きな力への畏敬。これこそ人類が誕生して以来持ち続けてきたもので、この思いが宗教の根源にあると思います。

現代人が無宗教になったのは、人智への過信、があったのではないでしょうか。
このことを今回の大地震は教えてくれています。

私は 「想定外」 と云って欲しくないのです。

私は浅はかな知恵で、思い至りませんでした。自然という大きなお力に思い至りませんでした。
私以上に大きな力があることを思い知らされました。申し訳ございません。至らなかったことを心から反省しお詫びいたします。

心の底から詫びる。自分、人間を越えた大きな力を畏れ、敬い、非力な己を恥じること。その心情の中から犯した失敗を心から償うという行動が表れてくるのではないでしょうか。深い反省、謙虚な反省が共感を呼び再生への道が開かれるのではないでしょうか。

これはまさに宗教の懺悔です。
この大震災によって我々はこのことを思い知らされたと思います。

私は東電の清水社長の顔を見ていると、怒りがこみあげてきます。

カテゴリ: 門主のお話 | 2011年04月18日 | コメント(3) | No Trackbacks

3月護摩のお話

お彼岸の連休で交通渋滞の中、ご参拝ありがとうございます。

この度の東日本大震災。津波と原発の大事故が重なり、もう極限を越えた大被害です。
連日のテレビ、新聞、ネット等、あまりの悲惨さの光景に完全に打ちのめされてしまいました。
もう言葉がありません。
皆さん同じ思いをお持ちのことと思います。

今日の護摩では、あれこれ申し上げることはありません。

ただひたすら、お亡くなりになった方々の菩提をお弔いし、安らかに浄土に向かわれることを強くお祈りすることといたします。皆様とご一緒にしっかりと祈りましょう。

東北地方にご親戚、友人はじめご縁の方々、お仕事上のご関係の方々、多かれ少なかれ、たくさんいらっしゃると思いますが、この祈りの気持ちが届きますように。

また厳しい現状の中、救いを求める被災者の支援に対し、それぞれのお立場を生かし、義捐金や現地でのボランテイア、避難被災者の受け入れ等出来る限り努力していきたいと思います。

それから同時に関西はお蔭様で無事生かされた訳ですから、ご自身のお仕事や活動を以前以上にしっかり勤めることが、復興のお手伝いにもなると思います。
お気持ちは分かりますが、全て自粛や、中止、禁止としてしまいますと、社会、経済の活力が失われてしまい、ただでさえダメージの大きい国の経済全体が沈没してしまいます。

その結果、税収も減り赤字国債が益々膨らみ、破綻に向かってしまうと思います。
今まで以上に頑張ってこの難局のために、尽くしていきましょう。そのことが復興に間接的にもお役に立てると思います。

カテゴリ: 門主のお話 | 2011年03月20日 | コメント(2) | No Trackbacks

2月護摩のお話

嬉しいニュースがあります。
青蓮院では東山山頂の青蓮院飛び地境内の将軍塚に、大護摩堂を建立する計画を永年進めてきました。その中で3年前に京都府所有の「平安道場」が老朽化して廃棄処分となっていたものを、保存運動している方がいらっしゃり、しかし思うように進んでいないことを知りました。それでは青蓮院が引き取って、移築再建し価値ある木造大建築の保存ができたらと考えました。

この「平安道場」は大正天皇のご大典記念に大正2年、府民の浄財を集めて「大日本武徳会の京都支部道場」として建てられた貴重な木造大建築です。戦後母体の会の組織はマッカーサーが解体し、建物は国から京都府へ移管され、京都府警の柔剣道の道場として使われていたのですが、老朽化して修復の維持管理が困難となり、京都府が廃棄処分を決定していました。

今では入手不可能な巨大なヒノキ材を使い、最高水準の木造建築技術により建造されていることも分かり、何としても保存再建したいと考えました。

昨年12月、京都府から無償譲渡を受け、東山山頂へ新たに建築する京都市の許可を目出度く先月の28日にいただく事が出来ました。京都府の承認、そして京都市の外部の審議会に計って建築の承認を得られるまで何と3年がかりました。やっと念願がかない、早速この3月から解体の作業にとりかかることになりました。

しかしながら新築と違い、取り壊して移築するには想像以上に手間と費用を要する訳で
およそ3億円が余分にかかることになります。

平成26年7月が完成予定ですが、この不足分の寄進をお願いに全国を駆け回るつもりです。
皆様の絶大なご協力をお願いいたします。

先月の初護摩の折にもお話ししましたが、思いを願いに高め、その願いを行動に移し、その行動を繰り返し繰り返し行うことで物事は成就していく。まさに今回のことはこのことに当たります。
お不動さまにしっかりと祈り、諸願を成就していきましょうとお話しました。

そして、この不足分の寄進が満願するまで、ご協力の輪を広げていただきますようお願いしました。

どうか、今後満願まで、ご自身の願い事の成就と併せてこちらの方も一緒に願って下さい。
お願いいたします。

カテゴリ: 門主のお話 | 2011年02月18日 | コメント(2) | No Trackbacks

初護摩のお話

初護摩のお話

平成23年の初護摩をお勤めしました。
今年の初満月ですが、残念ながら今日は雲が大分出てきて満月を見ることは一寸難しくなりました。

満月の護摩供、もう10年ほどになります。

満月は人間の「気」に大きな作用をもたらしていると考えられています。

満月の時の干潮満潮で太平洋の海水が十数メートル動くことは、月の力が、計り知れない海水の重さを動かしていることになり、我々は感じておりませんが、人間の体内の水分、血液、リンパ液等に及ぼす影響も極めて大きいのです。

そして脳の中の血液、リンパ液にも、大きな力が働いており、これらの影響は結局、人のやる気や、元気に大いに関係があると考えられます!

密教の経典に満月に行を修すれば、成就を得易いと説かれており、10年ほど前から青蓮院では満月に護摩を修してまいりました。

満月では、成就が得易いのですが、逆にくよくよしたり、自分はダメだとか思うと、その方にも強く導かれる危険性があります。

満月には、どうか前向きに、自分を向上させる気持ちを持って望んでいただきたいです。

皆さんの多くの方のお札の願意は、「心身健康」「家内安全」「商売繁盛」「病気平癒」「災厄消徐」等ですが。

我々は日々色々と思うわけですが、その思いを願いに高め、さらに行動に移すことが大切です。
その上でただ1〜2度願うのでなく、必ず行動に移すことです。

それも出来る限り、繰り返すことが必要です。繰り返し繰り返し、行うことが、成就に至る道です。

しかしながら、そこまででは単に自分の殻の範囲となり、なかなか成就につながらないのではないでしょうか。

思い、願い、繰り返し、そして行動するだけでなく、さらに自分より大きなもの、それはお不動様であり、宇宙を司る力ですが、それに自分をまかせる。委ねることです。

私はその先に成就があると思います。自分の力だけでは、限界があると思います。

この1年が皆さんにとって良い年となりますよう祈っております。

カテゴリ: 門主のお話 | 2011年01月20日 | コメント(3) | No Trackbacks

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