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8月護摩のお話

8月護摩のお話

連日の猛暑です。この暑さの中、よくお参りいただきました。ありがとうございます。
さらに私はお護摩の炎で焼かれます。でも私はお不動様に守られ熱中症にはならないと思います。(笑い)

今夜はぜひ満月を眺めていただき、心の中に青不動様を思い描いて見て下さい。

ものの見方は見る人の気持ちでなんとでも変わってくる事を先月お話ししました。
お釈迦様は八正道を説かれました。
悟りに至るための八つの正しい心の処し方です。
その第1番が正見です。
つまり正しく見ると言うことです。

ここにガラスのコップがあります。氷入りのジュースが入っています。
実は二重構造になっていて、間に空気の層があるんです。ふたにも工夫がされています。
冷たい飲み物は、冷たく、暖かい飲み物は、温かく。長持ちします。電子レンジでも使えます。
デパートで買い物をしたおり、一寸眼に止まり、機能が面白いしデザインも良かったので衝動買いをしました。
その時店員さんがこれは中国製ですといいました。
私は恐らく日本で設計されて、中国で製作し再び日本に輸入されたのではと考えました。
お値段も手頃なものだったからです。

私はこのコップのような中国製の商品は日常我々の眼に触れる物の内、非常に大きなパーセントを占めていると思います。

今日、円は83円台になりました。日本の経済は輸出によっているので、受け取りが目減りします。
しかもこの異常で急激な円高は、並大抵の努力では吸収できないでしょう。企業はリスクを回避するため、海外での生産、海外での販売で生き残ろうとして、結局殆どの商品が中国製となっていきます。
他にも中国は人件費が安いという理由もあります。
日本では製品の企画や、開発のみ、従って少数の頭脳があれば良い。働き手はいらない。産業の空洞化と
云われてきました。苦労してやっと大学を出ても、就職先がない、若者に望みや希望のない国に。
この円高はさらにこの流れを加速するでしょう。

このガラスのコップを見ると、そのような事が見えてきます。
正見、正しく見ること。単に表面的に機能やデザインが良いということではない。深く見れば、円高と日本経済や社会構造の危機の問題が見えてきます。

相手を見ること。家庭でも社会でも人との繋がりは人生の大部分を占めています。
相手を良く見る。正しく見る。このことが物を見ることと同様に非常に大切なことです。

なぜ相手は私の気持ちを理解してくれないのか。なぜ私の思いを受け入れてくれないのか。
なかなか思い通りに行かないことが多いです。こちらの思いが強ければ理解を得られない時の失望も逆に大きいでしょう。

これは特に恋愛のことではなく、普通の社会生活、仕事の人間関係でも同じことです。
私が私がと思っていれば、相手のことは見えなくなる。出来るだけ深く相手を見ること、相手を知ること、相手の考えを知ること。つまり「正見」正しく見ることだと思います。

謙虚に私を離れて、相手を知ることによって、私の考えも変わって、相手は私を理解してくれると思います。

お釈迦様は、八正道の第1にこの正見をお考えです。


カテゴリ: 門主のお話 | 2010年08月25日 | No Trackbacks

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 「正見」の大切さ、先月のお話と合わせるなら、物事を一面からの理解でわかったつもりになるのでなく、いくつかの視座から比較して眺め、違う視座からの姿も知った上で自分なりの認識を作れ、ということだと理解いたしました。具体例もわかりやすく思われました。ありがとうございました。
 その観点で、世の中を見るに、ごたごた続きで進路が定まらない。背景には「信頼」の欠如があるのではないか。安心して「任せられない」から、親は子どもを塾へやり、国民は国会をねじれさせ、仲間どうして勢力争いを繰り返し、発言もぶれる。鬱になり、引きこもり、自殺者年間三万人。不幸な時代です。
 若者に限らず、壮年の方も老境の方でも、卓越した地位・能力・財産のない、平凡な人には、どなたにとっても望みや希望のない時代。そういう時代を嘆くのでなく、そういう時代だから何ができるかを考えたいのですが、例えば「正見」のお話は、「希望」を創るためのヒントを与えてくださるように思います。
 ブログはもちろんですが、むしろツイッターのような場で、具体的な問題について「こう見てみよう」「こう考えてみよう」といったお話を頂ければありがたく思います。智慧を刺激して頂ける御法話でのお導きを楽しみにしております。

国語屋|2010年08月27日

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