青蓮院の国宝「不動明王二童子像(青不動)」は、高野山明王院の赤不動、三井寺の黄不動とともに日本三不動画のひとつです。現存する平安仏画の最高傑作で、「不動十九観」という規定に基づいて描かれており、信仰上も、美術的にも極めて貴重なものです。
平成21年には、青蓮院創建以来のご開帳を3カ月間行い、全国から約37万人の方々にお参りいただきました。その後文化庁で3年間の修復を行い、このたび復元模写を行っていた京都国立博物館より戻り、青龍殿落慶を記念して5年ぶりにご開帳することになりました。
青不動明王は、平安当初、宮中にて皇室の安寧、国の安泰を祈る尊像でしたが、青蓮院に下賜され、平安時代からの秘仏として高僧の手によって、青蓮院にて代々受け継がれてきました。 11世紀の最高の絵師が身命を賭して制作し、あまたの高僧によって念じ続けられ、多くの願いが込められております。歴史の節目に数々の影響を与え、今千年の時空を超えて厳然として存在することに、この尊像の並々ならぬ強いお力を感じます。ご開帳により、青不動明王の御利益が、皆様に遍くいき渡りますことを念願しております。